格安SIMはクーリングオフ対象外!その代わり「初期契約解除」がある

格安SIMはクーリングオフ対象外!その代わり「初期契約解除」がある

格安simを契約した後、何らかの事情によって契約を解除したくなることがあるかもしれません。本来であれば、クーリングオフを利用して無条件で契約を解除したいところですが、格安simにはクーリングオフが適用されないため、それはできません。

しかし、初期契約解除というほぼ同様の制度があり、これを利用することで縛り期間に対する違約金を支払わずに契約を解除することができます。ただし、事務手数料や音声通話SIM、あるいはMNPの維持の問題など、実際の利用に際しては、数多くの気を付けなければならない点があります。





初期契約解除って何?

初期契約解除は、格安simを契約した際、各種の書類を受け取ってから8日以内であれば、一方的に契約を解除できるという制度です。原則的には、必要な書面を揃えて契約の解除を申請することで成立します。本来であれば、一定の期間利用していないと違約金が発生することがありますが、初期契約解除を利用した場合は違約金を払う必要が無いというメリットがあります。もっとも、端末の価格や事務手数料や契約解除までに生じた通信料などは購入者が負担しなければなりません。

なお、大手キャリアとの契約に対しては、確認措置という別の制度が適用されます。事務手数料などの問題については、初期契約解除とほぼ同様ですが、こちらの場合は端末の返品も可能です。ただし、大手キャリアに連絡を入れて契約を解除する理由を説明する必要があります。そのため、基本的に初期契約解除は格安sim専用の制度と考えて差し支えはありません。



クーリングオフとの違い

初期契約解除は、クーリングオフに非常に近い制度です。いずれも、購入から一定期間の間、購入者側の都合で一方的に契約を解除することができるという点では共通しています。ならば、なぜ2つの同じような制度があるのかというと、それはクーリングオフがインターネットや携帯電話サービスの契約には適用することができないためです。

つまり、クーリングオフは、原則的に訪問販売などによる押し売りなど、購入者の意思を無視して購入を強いられた場合に適用されるものであるため、通信販売などの購入者が明らかに自分の意思で購入した場合は適用されないことになっています。そのため、新たにそれら専用の制度を作る必要があったということです。



縛り期間や違約金がある場合はデータ通信専用SIMでも対象

格安simなどに対する初期契約解除は、2016年5月に電気通信事業法の一部が改正され、消費者の保護を目的として施行されました。この時点では、契約に対する縛り期間やそれに伴う違約金がある場合のデータ通信専用SIMに限られ、音声通話SIMは対象外でした。しかし、トラブルの増加などにより、2018年10月以降は、音声通話SIMにも適用されるようになりました。

これにより、現時点で適用外とされるのは契約に縛り期間やそれに伴う違約金があるデータ通信専用SIMだけとなっています。ただし、今後も規約や条件などが改訂される可能性があるため、初期契約解除を利用する際には、常に最新の情報を確認しておくことが推奨されます。



ただしMNPした人は要注意!電話番号が無くなる!?

初期契約解除が実施されると、その文字通り契約が解除されます。ここで問題になるのがMNPです。MNPは、端末を変更しても電話番号を維持できるというシステムですが、契約が解除されるとその電話番号は使えなくなってしまうため、MNPも利用できなくなる可能性があります。つまり、それまで使っていた電話番号が使えなくなってしまうかもしれないということです。

これに対して、サービスを提供している会社によっては、一定の条件を満たすことでMNPの再発行をしてくれることがあります。その条件や内容については会社によって異なるため、一律の条件というものはありません。できれば、契約を結ぶ前に確認しておいた方が良いでしょう。