携帯料金の引き下げを検討する有識者会議【アリかもの部】

携帯料金の引き下げを検討する有識者会議【アリかもの部】

 昨日のコラムに引き続き、総務省が行っている「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」について、どういった内容がトピックスとして出てきたか、内容そのものの詳細や、それがどういった効果や意味があるのかといった事をまとめています。
 本日は、「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」から、前向きにとらえることが出来そうなポイントをかいつまんでみました。


◆長期利用者向けのサービスプランの作成

 確かに携帯キャリアからリリースされているプランやサービスの大部分が、新規顧客獲得に向けたものが大部分であることは、間違いない。
 ただし、この議論に関しては、深堀されていないので、具体的にどういったプランを政府が求めているのか、キャリアはどういった内容を用意してくるのか、気になるところです。
 そもそも長期利用しているユーザーは、ほとんど、携帯電話自体を利用することのないユーザーなのか、それとも、ヘビーユーザーだけど、携帯を機種変更や、キャリア変更することに対して、新しい端末やキャリアプランに魅力を感じないユーザーなのか、また、ガラケーとかフィーチャーフォンを利用していて、スマートフォンに抵抗を感じている人なのか、料金的な問題だけで片が付くとは思えない、ユーザーのストレスがどこにあるのか深堀する必要があると思われる。
 ほとんど利用しないユーザーであれば、今回の議論に出てきた利用が少ない人向けのサービスの値下げの検討に入るので、問題ないかもしれないが、それ以外に関しては、価格の問題ではなく、ガラケーユーザーであれば、スマホの魅力を伝えきれているのか?といった点や、それでもガラケーの方にニーズがあるのであれば、スマホに注力しているキャリアやメーカーは、リリースする内容をガラケーに傾ける必要がそもそもあるのではないか?といった議論も含まれることになるだろう。
 いずれにしても、どういった内容が次回に出てくるのか、楽しみな議論と言える。


◆総務省の値引きの効果検証

 ある意味正しくて、ある意味不思議に感じてしまうのですが、内容としてはこうだ。携帯電話などの端末の値引きなどのキャンペーンを各キャリアが行っていますが、この値引きのキャンペーンなどの効果を総務省が検証すると言うものだ。
 この「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」自体、総務省が主導で行っている内容なので、効果検証をするのは、当たり前の義務とも言える。政府の活動は税金によって行われている以上、やったことの結果はどうだったのか?という点はしっかり把握していく必要があり、また、現在実施しているキャンペーンの効果検証できていない内容に対して指摘等していくのは無意味な事だ。できれば、現行の内容の効果検証だけではなく、これから指導していく内容、この有識者会議で決まったことの効果検証などもしっかりと行って、公表し続けていただきたいと思う。


◆白ロムの市場について

 ここでの議論は、要は高額な新規のスマートフォンなどは、例えばAppleのiPhoneなどでは、10万円前後の高額なデバイスになっているが、新規の購入や、古い端末の劣化に伴った買換えを検討している人に対して、確かに10万円前後になると厳しいと言えるが、そもそも、どの位の金額ならユーザーは購入意欲が沸くのかの検討が不足していると思われる。
 今では、最新のスマートフォンでも価格を抑えて、機能もハイスペックではなく、ミドルスペックのモノをリリースしている、MVNOの格安SIMを利用するSIMフリー携帯であれば、最新のスマホでも1万円程度で購入できるミドルスペックの端末も存在する。
 中古端末である白ロムの市場は確かに存在し、実際に活用しているユーザーの数も多い、とは言え、中古市場はそもそも政府議論があまり介入すべきでない市場ではないかと感じる、議論自体が時期尚早ではないかということだ。先程の通り、MVNOの市場の存在、ミドルクラスの端末の存在の効果検証が必要だろう。認知を高める事でミドルクラスや格安スマホでニーズが満たせるのであれば、それからでも良いのではないかという事だ。
 中古端末は、そもそも故障していたり、トラブルが非常に多い上に保証などが少ないといった問題がある。ここに政府介入があれば、それは規制になり、保証を強めれば、白ロムも安い価格ではいられないだろうし、中古の端末の状態を確認する為の項目を規制すれば、購入者からすれば、安心して購入できるといったメリットがあるが、ブックオフのような大企業であればよいが、白ロムを現在扱っているのは、零細企業や、小さな商店規模だ。彼らにちょっとした規制を行えば、薄利で行っている中古屋さんは、要件を満たすための労力に耐えられず、撤退せざるを得なくなるだろう。
 いきなり、規模の小さい会社が実施している白ロムという選択肢ではなく、現在市場としてしっかり確立されている部分から目を向けていく事をお勧めしたい。