携帯料金の引き下げを検討する有識者会議【残念の部】

携帯料金の引き下げを検討する有識者会議【残念の部】

 昨年に安倍首相からの提言で、家計における負担を軽減する為に、という事で、何故かいきなり携帯料金のユーザー負担について指摘をされました。総務省管轄の話になり武市早苗大臣が中心となり、有識者や携帯キャリア大手などを呼び集めて、議論が繰り広げられていました。いわゆる「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」です。
 いままで、携帯料金の透明性や、MVNOサービスに関しての話が出ていましたが、12月の上旬での議論の結果、ドコモ、au、ソフトバンクの大手キャリア3社は、料金の見直しを検討するという事で、春をめどに取りまとめてくると言う内容になりました。安くなる可能性もあるので、家計にとっては嬉しいニュースかもしれませんが、ここで行われた議論のポイントについて取りまとめてみました。


◆スマホ利用が少ない人向けのプランの策定

 各キャリアにそもそも、ライトプランのようなプランが元々あったのだが、更に、具体的に安い料金設定のプランの提示を各キャリアに求めました。対象年齢が若い子供向けや、高齢者向けであったり、ラクラクフォンと言われているような特定の携帯端末向けに作られていた月々の支払額が5千円以下のプランを各キャリアに用意するように提言がなされました。
 そもそも、料金プランや料金の明細の中身が分かりにくく、気づくとライトプランのようなプランを契約したつもりでも、1万円近い請求になる事もありました。確かに、全くネット回線を利用しないような人であったり、着信以外に電話をすることが無いといったような利用、用途の場合を想定したプランは現在、存在していないので、プランとして用意することは必要かもしれませんね。
 とは言え、普段遣いしている人が大多数のスマートフォン、ここには何のメスも入らなかったので、全体として本来の目的である家計負担の軽減には、影響がない指示とも取れました。


◆「実質0円」告示に対して

 よく携帯販売店や、家電量販店の携帯販売店のコーナーで、「実質0円」といった広告や告知を見受けることが多いですが、この見せ方には不公平感があるとの事です。値引き内容を適正化すべきとの意見や、格安スマホと言われているMVNOのサービスの普及の邪魔になるといった内容でしたが、これも、生活者目線の指摘ではないと思われます。
 大きく2点の指摘があり、1点目としては、「実質0円」はそもそも問題なのか?という点です。ユーザーとしては、1円でも安く、オトクに購入したいというニーズもあり、キャリア各社はこのキャンペーンを行った結果で、会社が傾いたなんて報告も受けていません。もし、この「実質0円」に関して、問題があるとすれば、タダで手に入るのではなく、こういった負担があるけど、その代り無料と同等の価値で携帯電話を購入できると言う「実質」という表記ではなく、どういったキャンペーンの内容なのかをしっかりと、事前に明示することが肝要なのではないだろうか。
 また、2点目としては、「実質0円」といった表記が「MVNO」のサービスを阻害するといった内容でしたが、実質0円キャンペーンのほとんどの内容が、購入時のユーザー負担が0円と同じ意味、無料と同じ意味ですと言った内容です。それに対してMVNOが提供しているのは格安SIMと言われる、毎月の高速通信に要する通信費を安くサービス提供できると言ったもので、購入時というよりは、購入後のサービス提供を受けるタイミングで発生する費用の負担を軽減すると言った内容なので、論点自体がズレていると言わざるをえない。果たして、何の有識者が集まって話をしているのか?
 自分で携帯電話を購入したり、MVNOのサービスを受けた事がある人の意見なのか、この議論に多大な税金を掛けられていると思うと、残念な結果と思われる。
 後ろ向きな話が多かったが、前向きにとらえられる部分もあった。こちらは、明日のコラムにて掲載させていただきます。